食材も無いけど料理したい時の落書き その3「ステーキ」
今回は、塩コショウのたんまりかかったステーキを気のすむまで考える。鶏、豚、牛と代表的なものしか紹介できないが、肉料理といえば、やはりステーキでしょう。
食材
牛の場合
サーロイン 厚さ1~2cm あれば食いでがある
カルビ 細長くて火が通りやすい
ヒレ 表面を強火で焼いて焼き色がついたのをアルミでくるんで低温調理
モモ 同上(薄めに切ってローストビーフにしてもよい)
豚
ステーキ用の奴(ロース)、煮豚の奴は向かない
鶏
モモ肉(ケチってムネ肉にするとジューシーさがない。一枚200~300gのモノ。骨付きだと少しコツがいる)
久々に、なんちゃって料理記事を読み返すとノリが寒かったので、凄く悲しくなった。なので、楽しいことを想像しよう。楽しいことといえば、やはり飯だ。ゲーム、アニメ、漫画、映画、消費という意味では、どれも楽しいものばかりではあるが、白い皿に塩コショウのたんまりかかったステーキに敵うものは、そうはない。旨いステーキは一口で茶碗一杯ぶんの白飯をたいらげられるほど旨いものだ。良い肉を使えば、当然旨くなるし、しかも上手に焼けていたなら、間違いなく今死んでもいいと思える瞬間すら味わえる。
ステーキ……いい響きだ。ステーキという言葉を一口するだけで、鉄板に肉の焼けるあの音と独特の香ばしい匂いを想起させてくれる。これ以上に五感と直結した言葉はあるだろうか、いやない。そういうわけで、今回は塩コショウのよく聞いたステーキを焼くという体で、徒然に気の向くままに記そう。
1、牛サーロイン 200g~300g
高い。アメリカ産の安い肉でも100g当たり500円弱するのが相場である。これを買うだけで、2,3日分の食費が飛ぶと言っても過言ではない。
だが、それを失っても余りあるほどの魅力がある――まさに夢の肉である。
さて、焼く前に一番重要な工程がある。それは、肉を常温に戻す事だ。炊飯器のスイッチを入れると同時に、肉を冷蔵庫から出しておく。目玉焼きを作る時にも重要なことで、均一に火を通す為に必要な工程だ。
塩コショウをこの工程で振るか、フライパンの上で振るかという問題もあるが、ぶっちゃけそんなに変わらない。ただ、スーパーなんかで買った肉だと、余計に水分が添加されていたりすると聞いたので、あらかじめ振っておくと、味が締まる……気がする。
あとは、フライパンを煙が出るまで熱してから、オリーブオイルかバターを落として、全体にいきわたらせる。脂ののった黒毛和牛なんかだと、油は敷く必要はない。あくまで、肉汁を焼き目に生まれ変わらせるために、高温の油脂がいるだけの話だ。
サラダ油でもいいかもしれないが、旨いステーキを喰いたいなら断然、この二つのどれかを使うのを勧める。本当なら、屋外で七輪の上でじっくり焼くのも趣があって素晴らしいし、自分が知るなかで最も旨いやり方だが、あれはステーキという料理ではないと思う。炭の香りが強すぎるのだ。
そして、強火で1分か2分片面を焼く。家庭によって、コンロの火力も違うだろうから、何度か挑戦してみると良い。
裏返して、中火にする。フライパンの温度はもう十分熱されているから、強火にし過ぎるとダメだ。お好みで、酒を入れて、ふたをして蒸す。ウィスキーとか、ワインとか、香りの強い酒を入れるといい。赤ワインを入れると、ステーキに色がついてしまうので、個人的には白を入れるのが好きだ。大体1分か三十秒で完成だ。あと換気扇を回さないと酷いことになる。
2、カルビ
サーロインと大体同じ様に焼けるが、強火で焼き目をつけてからホイルでくるんで低温調理がおススメ。大根おろしとポン酢か醤油と砂糖を少し、フライパンに残った脂に混ぜて弱火で熱してソースにしたりすると、胃に優しい。
カルビは、串に刺してオーブンで7分くらいあぶるだけで旨い。ああ、めんどくせぇ。カルビステーキ用の肉は、皆すべからく、一口大に切ってから串に刺して両面に塩コショウ振って余熱したオーブンの中で、じっくり焼くのが一番旨い喰い方なんだよ!
煮物に使うにしても、きちんとした処理された牛すじには、勝てないし、何より堅くなる。カルビの利点はその安さと、独特の脂臭さにあるんだから、フライパンで焼くなんてのは愚の愚ですわ!
3ヒレ
焼いたことない。知らん。高い柔らかいヘルシー。サーロインと同じ値段だから買わない。上品すぎて嫌いである。女好みの浅ましい喰い物。
4モモ
熱したフライパンで両面に焼き色をつける。塩コショウはこれでもかというくらいあらかじめ擦り込んでおく。両面にしっかり焼き色がついたら、オーブンにぶっこむ。ぶっ込まなくてもアルミでくるんでおけばタタキくらいにはなるか。
しかしステーキよりもビーフシチュー、カレーが最高の喰い方なのではないか。牛肉臭さを全面に出さないが、野菜たちが引き立て役に徹することで主役面する具材がモモである。キャラの薄い役の振られたイケメン俳優といったところ。他の出汁の邪魔をしない、食いでがあるという微妙な立ち位置。場の空気読むのが一番旨い。
5、豚ロース
安い旨い。でも臭い。一パックに2枚は絶対入っているし、なおかつ牛肉の半額ほどの値段で買える。豆知識をいうと、牛肉と豚と鶏を食肉にするまでにかかる穀物の量は大体5:3:1だそうだ。値段にも大体反映されているな!
しかし、安いからと言って決して豚が牛に負けているわけではない。アイツらは値段がちょっと高いから、その分旨いと思われているだけだ。
フライパンを準備して、油を投入。薄めでいい。弱火にした後、ニンニクのスライスを投入。ふつふつとニンニクが動き始めたらいったん取り出して、中火に。
豚をどんと入れる。塩コショウはこの時にする。
1,2分で焼き目がつくから、裏返して弱火に。
ワインか、何でもいいから酒をぶっこんで、蒸し焼きにする。
豚は臭い。出来たてでも独特の匂いがしやがる。だから、ニンニク、酒で匂いを香りに昇華させる必要がある。
ソースはトマト缶で作る場合、小さめの鍋に塩とバジル、ニンニクの炒めた奴を入れて水気が飛ぶまで煮込んだソースがおススメ。または、焼き終わった後のフライパンの中に、醤油と大根おろしをぶっ込んでレモンをひと絞りしたものもいい。ともかく素晴らしい。
あと、白米も用意しろ。豚にパンは邪道だ。圧倒的白米! 白米に合う肉は豚だ。鮭やサンマや鯵の次に合う、哺乳類で最も白米に合うものは豚肉以外にあり得ないのだ!
6、鶏モモ肉のステーキ
定食の定番チキンステーキ。皮を高温でパリッとさせたステーキは臭みも無く、食感も至高である。単体で二つの食感を生み出せるという点で、鶏モモ肉のステーキは2つを上回っている。飯にも当然合う。
下準備、皮を下に、焼き加減が均等にするため、包丁で厚さを整える。これを怠ること適わず。これは絶対の法である。
そして、塩コショウをキメる。
フライパンを用意。鉄パンが良い。強火で熱して白い煙が出てきたら、皮を下にして焼く。1分は鶏肉がフライパンの温度を下げるので、強火で、その後3分を弱火にする。ここまで鶏を動かすことを禁ず。じっくりと皮と肉の間にある脂肪から脂を肉から出してやることによって、臭み消しになり、さらに、皮が揚げやきになることからパリパリの食感になる。この工程を経て始めて、鶏は全てを凌駕するステーキの王となるのだ……。
計4分ほどたったが、ここでようやく、鶏をまわして、フライパンに鶏の脂を塗る。そして、ようやくひっくりかえす。そして1分中火にして焼き目を付けた後、酒を適当にぶち込んでもう一分蒸す。
合計6分だ! この間に、レンジで付け合わせを調理するがよかろう。