日記 95

8月20日(月)

 世界の果てのランダムウォーカー 読了

 気ままな女上司のシュカと世界中の未知を求めて調査するヨキの話。
 短編連作小説。面白かった。
 SFから伝奇から冒険からなんでもござれの箱が成立しているのが凄い、気がする。
 短編集でもあるのでサクッと読める。
 話の展開忘れる前に章が終わるのは、とてもユーザーフレンドリー。
 やはり色々な形態のなかでも短編連作というのは最高のものだと再確認できた。
 短編書きはスマートだ。長編書きは忍耐強い。とすれば短編連作は最強……?

 あとがき作家というらしいのか、あとがきが掌編になっていた。
 2,3ページのSSだ。これが結構面白かった。
 本編は、昨日も触れたが4章が好き。
 
 好きな理由をいろいろ掘り下げて、練習でもしようか。
 便利な言葉を使っていると、思考がどんどん浅くなっていくからな。

 脳とネットが繋げる技術が発達した国に降り立ったシュカとヨキ。
 攻殻とかSAOみたく頭にヘッドアップディスプレイ(ギア)をかぶって、
 脳に直接刺激を送り(脳波だか電磁波だか技術的なアレは忘れた)、
 データを参照して五感を再現する娯楽が流行っていた。
 そこで、子供がギアを被ったまま死んだ事件を調査。ウーフェンという現実の肉体を動かせない少女と何て名前か忘れた少年から、ネットの”海”と呼ばれる場所を聞き出す。
 ネット上に人格をアップロードし、肉体を捨てることが出来る場所であるらしい。
 海に降り立ったヨキ達は、おおよそプログラムと呼べないようなオカルトじみた空間に引きずり込まれる。さらに階層を降りていけば、死んだ子供たちが目や鼻や口が肉で埋まったグロテスクな姿となって「こっちへおいで」と誘惑し、少年たちが拒絶すれば、無理やり取り込もうと彼らのデータを壊していく。
 あの手この手で逃げていくが、ついに追い詰められ……。
 そういう話。

 元ネタ的には中国神話なのかもしれないけど、イザナミの話を思い出した。
 ネット上の超存在とか、いいよね。好き。
 記述された人格は死人と同じというヨキの考察は、嫌いじゃない。
 脳のニューロンの発火パターンを体験と紐付けたデータを人格と呼ぶなら、
 きっとそうなんだろうなと思った。
 
 こうして日記を日々書いているのだが、これもまた自分の死んだデータなんだろうか。
 語り方が雑過ぎて全然伝わらない文章になってやがる。やっぱ文才ねぇわ、私。

 今日はこの辺で。