日記 43

6月13日 (水)

定時で上がれた。
そして、夜勤明けで眠くないという最強コンボ。
最高の休日にしたい。


青春失格男とビタースイートキャット、読了。

 変態系エロゲのシナリオ読んでるみたいだった。
 ドMにおススメ。
 面白いところは、主人公の変態性を文章の濃淡で表現しているところ。
 差延というやつだ。主観的時間ともいう。
 要するに敗北による精神崩壊が彼の求めるところだから、濃く表現されていて、
 普通のくだらない青春は薄く表現されている。
 体臭とか汗の味を表現し始めたときにコイツはヤバいやつだと思った。
 それにしたって、こういう自分を曝け出したい的な欲求を持った主人公って、バレた後、表面的には仲の良かった友人が離れたことに対して、心の底では信用していなかったやつなのだろうとか言って、放置するのが常だけど、なんというか根性が足りんというか、信用させようとかそういう気概がなさ過ぎて、ちょっとズレてる感じがする。
 周りに興味がなくって自分と名前付きのヒロイン(要するに興味のある環世界)以外、どうでもいいってんなら分かるんだけど、「受け入れられるかどうかわからないけど(チラッチラッ」って若干期待と不安が混じった感情のある奴。
 生の感情を出したらそらアウトでしょ。創意工夫が無さすぎる。
 タフさがないというか、純粋すぎるというか。甘ったれた感傷が見え隠れして腹が立つ。
 他人の赤ん坊を愛せる人間は奇特なやつだよ。
 まあ、いいや。主人公は青春不干渉だ。この作品には関係ない話である。

 バンドシーンがあまりに唐突に始まり、ヒロインに意地悪する女子たちを圧倒!
 このシーンがだいぶ雑だったことを除けば面白かった。正直このページで読むのやめようかと思ったレベルでひどかったが、まあ、後ろ暗い理由でバンドシーンを長々やるよりはまだよかったのかもしれない。主人公と理々ちゃんが優秀という設定があったが、作中では学業面と運動面で触れられる程度で、印象に残る展開で分からせてくれていなかったから、違和感が強かったのかも。

 変態性のほうが際立っていて、エキセントリックだけど無茶苦茶優秀だねってのがイマイチ伝わらなかった。全教科満点とかそういうのはいいとしても、なんかこう、設定で語ると非凡に感じないんだよなぁと。
 残念だけど、ただの性欲ザルにしか見えなかった。

 でも、主人公とヒロインの切実に宙ぶらりんな感傷と、普通の”輝ける”青春に対して何も感じられないことに対する絶望をちゃんと書いていて、ここは、青春小説なんだなぁと感心した(何目線だ、コラ)
 
 普通に対する絶望というのは、普遍的なテーマだろう。
 なにせ、”普通”という言葉は自己との差異を意識して使われるものだから、刺さる人間のほうが多い。普通こうするでしょ、なんであなたはこう考えられないの? とか、そういう。
 世の中にある不文律。それに従って善悪や良し悪しが判断される。だからそれに倣おうとする。誰だって善くありたいと思う、傷つきたくないから。悪く言えば保身のために。
 でももし、そんな理屈は全く理解できないと声を大にして言えたら? そういうやつが幸せを勝ち取って心の安らぎを得られていたら? 人生を謳歌出来たら?
 その希求、または好奇心が、普通に対する絶望に立ち向かう英雄像を作るのだろう。
 彼らはアンチヒーロー的、厭世的、けれども譲れない何かを持つ。普通に対して怯え、ないし、好戦的な感情を持っている。
 そういったキャラは、やはり好きだ。言いたいことを言語化してくれる。
 
 まあ、続刊あったら買うかは分からないが、いい作品だった。と思う。

平浦ファミリズム 1章 自国民の富まで読了。

 有体に言って、素晴らしい。何がって文章がとてもきれい。これだけで読む価値がある。
 描写の配分が何より丁寧で、結構な長文であるにも関わらず、全くストレスを感じさせない。こんな文章を私も書けるようになりたい。
 興奮して飯も食わずにこれ読んじゃったけど、全然損した気分にはならなかった。
 最高の一言に尽きる。
 筋はよくある家族もの。全員がエキセントリックだけど才能が有る。でも世間の目は普通を強要してくる。その葛藤とかを通して、関係性が変化していくのを楽しむ感じ。
 詳しくはググれ。久しぶりに長文書いてるからしんどい。
 
 ビスコと平浦ファミリア、あと三角の距離は、個人的に好きな文章なので、まねて書いてみたりしてみたいなぁ。まあ、自分には書ける核のようなものがないから、その文体を通していい表現になるとは限らなさそうだけど。
 まあやれること増やしていきましょ。

 今日はこの辺で。